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相続登記は義務化されました。過去に亡くなられた方の相続分も、原則として2027年3月31日までに申請が必要です。

相続登記の登録免許税|計算のしかたと、免税措置の使いどころ

相続登記でかかる税金が登録免許税です。司法書士に依頼するかどうかにかかわらず、国に納めるものとしてかかります。

金額は不動産の評価額で決まりますので、評価証明書さえ手元にあれば、ご自分で計算できます。 見積もりを立てるうえで大事なところですので、順に見ていきます。

手続き全体の流れは相続登記とはをご覧ください。

税率は0.4%です

登録免許税法の別表第一が、登記の種類ごとに税率を定めています。相続に関わるところを抜き出すと、次のようになります。

登記の種類課税標準税率
所有権の移転 イ 相続又は法人の合併による移転不動産の価額1000分の4(0.4%
所有権の移転 ハ その他の原因による移転不動産の価額1000分の20(2%

相続と、それ以外とで5倍の開きがあります。

売買や贈与は「その他の原因」にあたり、2%です(土地の売買については、租税特別措置法の軽減措置により、2029年3月31日までに受ける登記は1.5%とされています)。

売買や贈与が、個別の不動産を相手に移す取引であるのに対し、相続や合併は、亡くなった方や消滅する法人の財産をまるごと引き継ぐ法律上の承継です。取引に比べて、承継にともなう名義の変更には低い税率が当てられているのだと考えられます。

遺贈は、相手によって変わります

遺言で不動産を渡す場合、渡す相手が相続人かどうかで税率が変わります。

登録免許税法は、この法律でいう「相続」に相続人に対する遺贈を含むとしています。ですから、

  • 相続人への遺贈 … 0.4%
  • 相続人以外の方への遺贈 … 2%

お世話になった方や、お孫さんが相続人でない場合など、相続人以外へ遺贈すると5倍になります。 遺言を作る段階で知っておきたい差です。

住宅用家屋の軽減税率は、相続には使えません

登録免許税には、住宅を買ったり建てたりしたときに税率を下げる軽減措置があります(住宅用家屋証明書を添えるもの)。

これは売買と新築が対象で、相続による移転には適用がありません。 「自宅だから安くなるのでは」と思われることがありますが、相続の場面では使えません。

相続で税額が下がる場面は、次に述べる免税措置のほうです。

課税標準は「不動産の価額」

税率をかける元の金額を、課税標準といいます。

登録免許税法 第10条第1項(不動産等の価額・抜粋)

別表第一第一号(中略)に掲げる不動産(中略)の登記(中略)の場合における課税標準たる不動産(中略)の価額は、当該登記(中略)の時における不動産等の価額による。

条文は「登記の時における価額」としていますが、そのつど時価を評価するのは現実的ではありません。そこで附則が、固定資産課税台帳の価格を使えるようにしています。

登録免許税法 附則第7条(抜粋)

不動産の登記の場合における新法第十条第一項の課税標準たる不動産の価額は、当分の間、当該登記の申請の日の属する年の前年十二月三十一日現在又は当該申請の日の属する年の一月一日現在において(中略)固定資産課税台帳に登録された当該不動産の価格を基礎として政令で定める価額によることができる。

つまり実際に使うのは、固定資産税評価額です。市区町村で固定資産評価証明書を取ると載っています。

注意していただきたいのは年度です。 条文が「申請の日の属する年」としているとおり、申請する年度のものが要ります。年度をまたぐ時期に申請が遅れると、取り直しになります。

持分だけを取得する場合

不動産の一部の持分だけを相続することもあります。

登録免許税法 第10条第2項(抜粋)

前項に規定する登記(中略)が(中略)不動産(中略)の所有権の持分の取得に係るものであるときは、当該不動産(中略)の価額は、当該不動産(中略)の同項の規定による価額に当該持分の割合を乗じて計算した金額による。

評価証明書に載っているのは不動産全体の価額ですので、そこに持分をかけます。私道の持分などは、この計算になることが多いところです。

端数の処理が、計算の山です

ここを外すと金額が合いません。切り捨てが2回入ります。

国税通則法 第118条第1項(課税標準の端数計算・抜粋)

国税(中略)の課税標準(中略)を計算する場合において、その額に千円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

国税通則法 第119条第1項(確定金額の端数計算・抜粋)

国税(中略)の確定金額に百円未満の端数があるとき、又はその全額が百円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

順番にすると、こうなります。

  1. 対象になる不動産の評価額を合計する
  2. その合計額の1,000円未満を切り捨てる(課税標準)
  3. 0.4%(1000分の4)をかける
  4. 出た額の100円未満を切り捨てる(納める額)

計算してみます

土地の評価額が12,345,678円、建物が3,456,789円だとします。

手順計算
① 合計12,345,678+3,456,789=15,802,467円
② 1,000円未満を切捨15,802,000円(課税標準)
③ 0.4%をかける15,802,000×0.004=63,208円
④ 100円未満を切捨63,200円(納める額)

合計してから切り捨てるのがポイントです。不動産ごとに切り捨てると金額がずれます。

税額が1,000円に満たないとき

登録免許税法 第19条(定率課税の場合の最低税額)

別表第一に掲げる登記又は登録につき同表に掲げる税率を適用して計算した金額が千円に満たない場合には、当該登記又は登録に係る登録免許税の額は、千円とする。

評価額の低い山林や私道だけを相続した場合、計算すると数百円ということがあります。その場合も1,000円です。

免税措置は2つあります

租税特別措置法に、相続登記についての免税措置が置かれています。いずれも2027年3月31日までの登記が対象です。

租税特別措置法 第84条の2の2(相続に係る所有権の移転登記等の免税)

個人が相続(相続人に対する遺贈を含む。以下この条において同じ。)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成三十年四月一日から令和九年三月三十一日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さない。

2 個人が、(中略)令和九年三月三十一日までの間に、土地について所有権の保存の登記(中略)又は相続による所有権の移転の登記を受ける場合において、これらの登記に係る登録免許税法第十条第一項の課税標準たる不動産の価額が百万円以下であるときは、これらの登記については、登録免許税を課さない。

① 登記をしないまま亡くなった方の分(1項)

祖父から父へ、父から子へと相続が続き、父の名義にする登記をしないうちに父が亡くなったという場合です。いったん父の名義にする登記について、税がかかりません。

世代をまたいで放置されてきた土地の登記を進めるための措置です。数次相続で登記が何件かに分かれるとき、実際に効いてきます。

② 価額が100万円以下の土地(2項)

課税標準が100万円以下の土地については、税がかかりません。私道の持分、山林、農地の一部などが当てはまることがあります。

どちらも土地についての措置で、建物は対象外です。

そして、申請書に根拠となる条文を書かないと適用されません。 ①なら「租税特別措置法第84条の2の2第1項により非課税」、②なら「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」と申請書に書き添えます。黙っていて自動的に免除されるものではありません。

納め方

法律上の原則は現金での納付です。といっても、法務局の窓口に現金を持っていくわけではありません。納付書を添えて、日本銀行(国税の収納を行う代理店となっている銀行などの金融機関を含みます)か税務署に納め、受け取った領収証書を申請書に貼ります(登録免許税法21条、国税通則法34条)。あわせて、税額が3万円以下の場合などは収入印紙で納められるという定めがあります(登録免許税法22条)。

3万円を超える場合についても、印紙で納めることに特別の事情があると登記機関が認めたときは印紙で納められる、という定めが政令にあります(登録免許税法施行令29条)。この受け皿があるため、実務のうえでは収入印紙による納付か、オンライン申請での電子納付がほとんどです。印紙は法務局内や郵便局で購入できます。

当事務所でも、税額が1,000万円を超えるような特別な事情がない限り、領収証書による納付は使っていません。1,000万円という線が出てくるのは、電子納付に使う金融機関のインターネットバンキングに利用限度額が設けられていて、1日1,000万円までとされていることが多いためです。これを超える税額は電子納付では納めきれませんので、そのときに領収証書による納付の出番があります。

なお、先ほど「合計してから切り捨てる」と書いたのは、1件の申請の中でのことです。切り捨てと最低税額の1,000円は申請ごとに適用されますので、同じ不動産でも、まとめて申請するか分けて申請するかで税額が変わることがあります。分けたほうが百円単位で安くなることもあれば、税額の小さい申請が最低税額にかかって、かえって高くなることもあります。また、管轄が違う不動産は、そもそも申請自体を分けることになります。司法書士に依頼する場合は、申請の件数によって報酬も変わります(料金のご案内)。

見積もりを立てるには

登録免許税を出すには、次の2つがそろえば足ります。

  1. どの不動産が対象か(名寄帳と納税通知書で突き合わせる)
  2. その評価額(固定資産評価証明書。申請する年度のもの)

この2つが手元にあれば、上の手順でご自分で計算できます。 戸籍を集めている間に取っておくと、費用の見通しが早く立ちます。

免税措置に当てはまるかどうかは、相続の重なり方や土地の価額によって変わります。判断に迷われたら、評価証明書をお持ちいただければその場で確かめます。

相続登記について詳しく対応地域ごとに、申請先となる法務局もご案内しています。

相続登記の手続きとご依頼について →

根拠・参考

条文は e-Gov 法令検索で現行のものを確認しています(最終確認 2026年7月30日)。

代表司法書士 宮城 竜哉
この記事を書いた人 司法書士 宮城 竜哉(愛知県司法書士会所属 登録番号 愛知県第1842号)

平成25年の開業から13年、累計1,000件以上の相続手続きの依頼を受けてきました。

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